シロ追悼

昨日、家にいたネコがたぶん老衰で永眠した。
当たり前にいたネコではあったが、いなくなるとなんだかさみしいね。


一応、シロを追悼し、彼女の生き様を残す。

シロは、昔は、向かいの屋根に住んでいた猫であった。
それがひょんなことからうちに住むようになった。

ある年の夏、大きな台風がきた夜、シロは、ずぶぬれで
一匹の赤ん坊ネコを口にくわえて、家に入ってきた。
シロは、初対面の私を気にすることもなく、せっせと階段を上がり、
2階の玄関の靴箱の下にその赤ん坊をおくと、再び、何処かへいってしまった。

赤ん坊は、まだ生まれて間もない頃だと思う。よたよたと歩くのもおぼつかなかった。
仕方がないので、変なところにいかないように箱とバスタオルを用意してその中へ入れた。

そうこうして、しばらくすると、シロは、もう一匹赤ん坊をくわえて戻ってきた。
私が用意した箱に当たり前に赤ん坊をいれると、私に感謝の一言もなく
ふたたび、一目散に、どこかへいってしまった。

シロは、ほんとにいそいでいたのだ。
大きな台風の中、横殴りの雨で、向いの屋根の軒下では
夜を過ごせないと思ったのか、意を決し、
赤ん坊を口にくわえて急いで155を渡り、
何度も往復し、結局、1時間以上もかけて、4匹も連れてこなければならなかったのだ。

やっとのんびり出来たのは、運び終えることができたあと。
最初、箱の中で居心地悪そうにしていたが、そのうち、
赤ん坊ネコを夜中(よるじゅう)なめまわしていた。
しかし、そのときも、バスタオルと箱を用意した私に対し、シロからは感謝の一言もなかった。

そして、そのまま、ここに住むようになった。

最近、よくシロは誰彼となく挨拶にまわっていた。
もう死ぬというのがわかっていたのだと思う。
私もそんな気がしていたのだ。


台風の晩から、10年以上すぎた。

でも良く覚えている。
思い出すたび力と喜びを貰える。
ありがとう!シロ!フォ〜〜えば〜!
確かに君は生きたぞ!