ぼくは考える木

ボーシャ・アイバーセン 著  小川敏子 訳  早川書房

自分の自閉症に対するイメージがいかに貧弱だったかと痛感させられた本。ノンフィクション。

ティトという自閉症のインドの少年が書いた詩を
本書の
「10 見る あるいは きく」の章のP273〜274より引用

バラバラに切断された魂は
死の爪で覆われて闇の中にいたが、
失った生命を
愛するようになった
大胆にも生き延びた人々に
あこがれのまなざしを向けた
彼らの魂もバラバラであるとは知る由もなく
切断された魂はため息の墓に腰かけて
ひたすら考えた
どういうことなのか、なぜなのかを
考え続けた。
バラバラに切断された魂はやさしい痛みを感じながら
世界を見る
残っている者たちを見る
そして、
息が止まりそうなほどの痛みを覚えながら
なにも見えていないかのように
天を仰ぐ


自閉症に関する理解を深めるというより、魂に対する理解を
深められる良い本だとおもった。